【レクチャーレポート】39~54
R39:成塚智哉
今回は数多くの舞台で活躍されているファッションデザイナーの廣川玉枝さんにご講演していただいた。講演の中でお話しいただいた衣服の構造や民族服などは建築の機能面や歴史などと関連性があることが分かった。例えば、国や気候によってできてきた衣服に違いが出るという部分では建築分野においてもバナキュラー建築などがある。衣服分野などの他分野にについて知識を深めていくことで、今までの建築に対する見方などが変わり新しい建築を創る上でとても参考になる知識があるのではないかとも考えた。またスキンシリーズでは最新技術を使用し新たな衣服を作り上げていて、建築においても3Dプリンティングの技術を使用した建築が出てくるなど構法的な部分にも着目しながら他分野の見識を深めていきたいと思った。
R40:大場舞子
今回は廣川玉枝さんにご講演いただきました。衣服を第二の皮膚ととらえ、そのほか建築や宇宙までも自分の身体の一部という考え方が非常に興味深く、デザインに対して新たな解釈が生まれた講演でした。
近年ファッション業界では大量の衣服が作られ短期間で廃棄されるファストファッションが問題となっていますが、廣川さんは流行に振りまわされすぐに無くなってしまうようなデザインではなく、長く文化として残る本当に良いデザインとは何かを突き詰めることで美の価値を見出しており、これは私たちが関わる建築業界でも同様に捉えることができると考えました。
また、衣服は自由に変えることができても乗り物はそうでない背景から、第三の皮膚である乗り物の新たな提案として車いすの事例が紹介されていました。ひとつしか形がなかった第三の皮膚である乗り物が、今日は○○型、今日は△△型と自由に選べるような時代がすぐそこまで来ているとしたら、いつか第四の皮膚である建築も自由に選べるようになるかもしれないと考えるだけでもワクワクするし、そのような変化に対応できるデザイナーであれるように、物事のカテゴリーにとらわれず多角的な視点を大切にしていきたいと強く思いました。
R41:後藤駿之介
ファッションデザイナーの廣川玉枝さんのご講演を通して,皮膚・身体と衣服についての新しい解釈や考え方を認識することができたと感じる。
身体の夢は人類共通であるため衣服という可変可能なものに合わせた世界服を目指すという考えに興味を持ち,民族服という風土や気候,環境に応じた形のものからこのような考えへと発展させていくことの重要さを感じ取ることができた。また,この考えをもとに目に見えないものを見えるものとしてデザインした神事・祭りの衣装が,身にまとうことに対しての祭りの形を表していることに興味を持った。
新たに挑戦することに対しての心構えとして話されていたことで,想像できる可能性内で予備の対応や対処法をいくつも用意したうえで取り組んでいるという内容は,自身の今後のことに生かしていくことができるのではないかと感じ,日々の生活の中でも実践していきたいと考えた。
R42:宮澤太陽
今回、廣川玉枝氏の講演を聞きデザインに対する新たな視点や、共通して考えていることを改めて認識することができた。
廣川氏が人を守るものを第2の皮膚~第6の皮膚と表現していた。この観点を建築に落とし込むと現代の高層化されていく街のボリュームも一見、人のモジュールから逸脱しているかもしれない。しかし、人を社会やコミュニティのモジュールと置き換えると適切なボリュームなのかもしれない。また、アジア圏とヨーロッパ圏の衣類の話において、昔の人々は文化的や地理、気候などのコンテクストから衣類の違いが生まれた。しかし、技術が進むにつれて便利さなどを優先するようになった。それは、ファッションや建築だけではなく様々なデザインにおいて共通するのではないだろうか。便利さによって過去の文化が絶滅してしまう課題を防ぐこともデザインが担う大切なことだと再認識することができた。
R43:大場玲旺
今回は日本を代表するファッションデザイナー・廣川玉枝さんにご登壇いただき、講演を通して身体と衣服の関係性、そしてその技術と美しさについて学びました。
廣川さんが衣服を身体の拡張として「第二の皮膚」と考え、無縫製ニットの技術を応用した衣服を作成されたお話を聞きました。僕は普段、衣服を摩擦や光などから守る、いわゆる機能面的なことしか考えていないので、個の表現や体そのものの美しさを表現するための衣服の可能性を知ることが出来ました。
また自分の中のファッションデザイナーのイメージとして、作品の作成する上でスケッチをたくさん描くイメージがありましたが、それに加えて廣川さんのようにコンピュータープログラミングを駆使することできめ細やかな美しいデザインを提案することが出来ることを初めて知ることが出来ました。
講演の中で、建築が第4の皮膚と紹介されており、建築も空間をデザインし纏うことで、機能を充実させ、何か表現できるという点で共通点があると感じました。講演の最後には、いいデザインは人の心を前向きにする力があり、大切にされるからパーマネントなものになると話されており、前回のセミナーの坂さんと同様の考えを持っていることに驚いたと同時に、それだけ人に愛されるデザインをつくることの大切さを意識することが出来ました。
R44:寺崎唯純
今回の講演では東京五輪の表彰台ジャケットなどを手掛けた廣川玉枝さんにご講演頂き、衣服=第二の皮膚という考えから皮膚を着るというコンセプトに無縫製ニットの技術を用いてデザインされたSkin seriesの事例を交えながらデザインのプロセスなどをご説明いただきました。
廣川さんの作品Skin series では、衣服を第二の皮膚とし光と影の陰影に着目してデザインされていることで、身体表現(ボディーペイントや刺青)を身体でしなくても衣服で表現できることが理解できました。また、衣服だけではなく、椅子・車椅子・メガネ・ツリーなどにもSkin seriesの技術が用いられていることから、1つの視点だけではなくて多角的な視点を持って捉えるとデザインの幅を広げることができるのだなと感じました。
また、最初にお話いただいた民族服では風土や気候などの環境に応じて、地域によって衣服のかたちやデザインに違いが生まれたということから、私もこれから設計課題を行う上で、その土地の風土や気候などの周辺の環境をデザインに取り込みその地域の特徴を建築で現し、かたちに意味を持たせられるような設計や多角的な視点を持つことでデザインの幅が広げられるように取り組んでいきたいと思います。
R45:蓮沼志恩
世界的なデザイナーであり、ファッション業界以外でもご活躍されている廣川さんの講演を聞き、身体の皮膚の他に衣服から宇宙までのこの世界の全ての道具を皮膚と捉えることで、ミクロから宇宙まで全てが繋がりを持ち、自分の一部として考えることができるという考え方はとても興味深いものでした。
廣川さんはそれぞれの地域風土に合った伝統的な民族服という素晴らしい原型が、近年は日常的に着用されなくなってきていることから、世界中の人の美に回答し長く着用される世界服をつくるべく、人類すべてが持つ皮膚に着目し、衣服を第二の皮膚と捉えてスキンシリーズを開発されました。さらに乗り物を第三の皮膚、建築を第四の皮膚、地球を第五の皮膚、宇宙を第六の皮膚と捉え、車椅子のデザインから祭りの開催まで幅広い皮膚を表現されています。
そのスケールを飛び越えた考え方は、カテゴライズせず曖昧な境界で多角的な視点で捉えることから繋がっていることが分かりました。建築を第四の皮膚と捉えることは私自身の建築との向き合い方から変わりそうな予感がしました。
R46:菅谷心洋
今回のイブニングセミナーでは、廣川玉枝さんにご講演いただき、建築ではない分野からデザインについて考える機会となりました。
これまでの作品事例やその背景をご説明頂く中で、芸術祭で祭りを開催するにあたり「日本人には目に見えないものを受け入れるキャパシティがあると思う」という言葉が印象に残りました。課題の本質を捉えるだけでなく、ターゲットの特性をも活かすことでデザインができるのだと考えました。また質疑応答では、皮膚の観点から様々なスケールの作品を手掛けていく中で、共通して「代替案や予備のルートを用意する」という、実践的なことも教えていただきました。デザインを通して未来や人間の文化を作っていく、私もその対象物をカテゴライズせず、多角的な視点を持ち設計をしたいと感じました。
R47:佐藤一貴
今回のファッションデザイナーの廣川玉枝さんの講演を通して、皮膚や衣服といった普段自分たちが学んでいる分野とは少し離れた分野のプロが持つ、デザインに対する考え方や捉え方を学ぶことが出来たと感じました。
衣服を「第2の皮膚」ととらえる事で、人間が古来より持ち続けている身体の夢であるタトゥーなどといった皮膚自体に対する装飾すらも着脱可能にする。なりたい自分になれるという事は身体における衣服の可能性を高める事に繋がるというお話は特に印象に残っています。
また「建築」も大人数で着る一種の衣服であり「第3、第4の皮膚」に含まれるのではないか、という話を聞いて、衣服も建築も分野としては案外近い物なのかなと感じ、デザインに対して新たな視点を持つ事が出来ました。
R48:小島徹也
今回のイブニングセミナーでは廣川玉枝さんより「皮膚のデザイン 身体と衣服の可能性」というテーマで講演をして頂いた。全体を通してファッションデザインという他分野の視点から新たな気づきを得られたと感じている。講演の中で取り上げられた衣服や乗り物、建築を第2、第3、第4の皮膚と捉えそれぞれを身体の延長とする考え方は今まであまり意識してこなかった考え方だった。設計における建物利用者に対するデザインについて新たな学びを得ることができたと感じている。また、カテゴリを定めず様々な分野を知ることによって、そのあいまいな境界から新たなデザインが生まれるという話に共感した。今後設計を進めていく上で関連分野に限らない様々な分野のことを学んでいきたいと思う。
R49:北島拓弥
廣川玉枝さんの「皮膚のデザイン 身体と衣服の可能性」の講演は、自分にとって建築以外の分野のお方からお話を頂く貴重な機会となった。講演を拝聴するにあたり、衣服と建築の関連性を探る視点を持つことを意識していた。お話の中で、「世界服」が建築におけるドミノシステムやカーテンウォールと重なるように思え、地域性の上に創り上げられた民族衣装と、人類共通の普遍性がある世界服の対比は建築においても見られるものであり、それらの共存や現実的な問題を踏まえた取捨選択が今後どう行われて世界の衣服の在り方が変化していくのか、衣服、建築などの分野に収まらず社会全体の問題として捉えられるように感じられた。
R50:小山内里奈
今回の講演では、廣川玉枝さんの「皮膚のデザイン・身体と衣服の可能性」を受けて、デザインという観点で衣服も建築も変わらないことを学んだ。
衣服とは「第二の皮膚」であり、身体の延長ととらえることによって人々の動きや文化行動に新たな魅力や機能が加わると知り、第4の皮膚ととらえる建築においても人々の活動動線や目的コミュニティに活用できる考えだと気づくことができた。更に最後の質疑応答の際に、万が一の失敗や事態のためにあらかじめどうするべきかなど何通りかを考えておくと良いと伺った。これは建築においてもひとつを追求することももちろん大切ではあるが、近年では様々な価値観、考え方が広まっているなか、第2、第3と考えを広げていくことも大切であると学ぶことができた。
R51:市之瀬航生
今回ファッションデザイナーである廣川さんにご講演頂き、デザインに対する新たな視点や考え方など建築とは違う視点での考えを聴くことができました。身体の拡張として衣服を「第二の皮膚」と捉えたり、建築も「第四の皮膚」と捉えるなどデザインに対して新たな考え方を学ぶことができたと感じます。足の延長線、爪の延長線と身体のマテリアルからデザインに応用した車いすの設計をされていて、身体の拡張からデザインされているのが印象的でした。また、起こりうる可能性に対して起こるかもしれないことに対して対策みたいな予備をいくつも用意しておくことが発想に大切にしていることと話されており、建築においても共通して大切なことだと思うので私もこれからの設計で大切にしていきたいと思いました。
R52:石井琢夢
廣川玉枝さんによる講演を聴かせていただいた。服飾をメインとしながら、ほかにも多種多様な分野で分野でデザイナーとして活躍されている廣川さんが語る内容は私たちが学ぶ建築の分野にも通ずる部分が多くあると感じた。廣川さんは、サイクルが早い服飾という産業に対し、流行というよりもっと本質的な、10年、20年流されないデザインを見出そうとして、第二の皮膚としての衣服というものを突き詰めていた。また、道具とともに進化してきた人間の性質と交えて衣服について述べていた。昨今の建築分野においても建てては壊す建築ではなく長く残り続ける建築が求められる背景があるし、道具という観点から見れば建築も人が身を守る道具ととらえることが出来る。長く残り続ける建築とは、身を守る道具としての建築とは、という問いに対しての結論が与えられたわけではないが、服飾という全くの異分野と思っていたものにも、自分が学ぶ建築という分野に関連があるのだと気づくことができた。講演の最後に、本来カテゴライズされているもの同士の曖昧な境界線を探っていった結果、廣川さんの分野にとらわれない多様な活動が生まれていったというお話があった。関連がないという固定観念にとらわれず様々な分野の境界線を探っていく取り組みの中で、自分も新しい何かを生み出していきたいと感じた。
R53:庵本未優
今回のイブニングセミナーでは、「皮膚のデザイン 身体と衣服の可能性」というテーマのもと、廣川玉枝さんにご講演いただきました。
衣服から家具、車いすや空間、ロボットなどの多岐にわたるデザインをご説明していただき、考えが一貫されている中でも手法は様々で、非常に興味深かったです。
ご講演の後半におっしゃられた「人間の命には限りがあるが、美しい心は人間の命よりも長く残る」という内容が印象的でした。インスパイアされた人が、DNAを受け継ぎデザインの循環が成されていくことは、テーマのようにデザインには無限の可能性があると感じました。時代が進んでも受け入れられる、そんなデザインを通したソリューション提案を意識して設計を行いたいと思いました。
R54:一ノ瀬愛弓
今回の廣川玉枝さんの公演を通して、機能と表現を合わせた造形の美しさにとても興味を惹かれました。ニットが編んでつくられることからプログラミングでつくることができ、デザインの幅を広げられることでつくられたスキンシリーズは模様が素敵でした。身体にフィットしたニットは、身体を活かした模様が描かれていて格好良く、全身ではなく分けて販売されたタイツも素敵で惹かれました。幾何学的な花と人的な表現を融合することで出来た擬人化ロボットは、命の無いロボットに人間味を感じ素敵という感情とロボットへの感情移入が促されそうな恐さもあって擬人化の面白さを改めて感じました。 中世のオートクチュールから20世紀のプレタポルテ、21世紀のデジタルクチュールと、機械化やプログラミングが発達していくことでデザインの幅が広がっていくことは、建築にもいえることだなと感じました。先のパターンをいくつか考えたり、分野に囚われずデザインを考えていく思考スタイルを参考にしたいと思います。身体を活かした衣服は、建築だと周囲の環境を反映した・活かした建築だと思うので、建築も皮膚のデザインの一部であると意識してこれからの建築を考えていきたいです。