【レクチャーレポート】23~38
R23:成塚智哉
以前、坂さん設計のスイデンテラスへ訪れた時、普段の生活空間の中では経験できない木による多様な構造体が生み出す空間の豊かさや可能性を体験し感動しました。
本日の講演会では、そのことに関連するような3次元加工機を使用した木造建築での空間の可能性や海外と比較したときに、日本の木造における加工技術、法規制などの観点から世界から後れを取っているというお話を聞き木造建築に対する理解が深まりました。
講演の後半において、坂さんの災害支援活動を行うお話を聞く中で被災地において材料の確保や、経済面、施工しやすさ等も考慮することにより世界中で提案を受け入れられ、実現されている理由を理解することができました。また、阪神淡路大震災の際には教会の再建に際し許可が出るまで交渉するというお話や、難民キャンプのシェルターの提案を国連に直接交渉に行くなど、社会のために建築にできることを考え、すぐ行動に移し実現させているという行動力が坂さんが作る建築が愛されるものになる大きな一因でもあるのかなと感じました。
本講演会では、建築に対する考え方にとどまらず、自分自身にできることを考え行動に移せる人間になりたいと感じる講演会でしたありがとうございました。
R24:一ノ瀬愛弓
今回の坂茂さんの講演を通して、建築と社会貢献の両立について学ぶことができました。
最後に話されていた復興と復旧の違いについて、復興は ”仕事” になり得るため地元の人へ残し、その前段階である復旧をつくることに重きを置いていることに、建築にできる被災地への最大の社会貢献を感じました。難民用の住宅を紙管で建てたり、土台にビールケースを使ったり、避難所の体育館内での紙管とカーテンなどによりプライバシーをつくることや、コンテナを三層、市松模様状に重ねることでつくる仮設住宅などの説明を聞き、その時ある数少ない資源でできる最大の支援を行う建築にそれぞれの材料のポテンシャルの高さを知ることができました。特に、コンテナを三層市松模様状に重ねて作られた仮設住宅は、今までの仮設住宅に感じられた閉鎖感から解放され、建築にできる工夫を実感しました。今後の設計において、材料のポテンシャルを意識していきたいです。
被災地への支援として、新しい材料で新しいものを建てる復興も支援であり大事ですが、身近なものを活かした空間をつくることによる復旧について、まず考えられる人でありたいと講演を通して思いました。
R25:小島徹也
今回のイブニングセミナーを通して私は仮設建築が後の地域社会にもたらす効果について知見を得られたと感じている。加えて、建築士の建物を設計すること以外の社会的責務についても考えさせられる講演であったと思う。
講演中の坂さんの事例として仮設のミサがパーマネント化する事例が取り上げられていた。構造が仮設の紙管であったとしても、被災した人々に寄り添った設計をしたことにより実現したパーマネント化なのだと感じた。質問で取り上げられた女川駅も坂さんの仮設住宅の設計を経ての設計であり、仮設で作った空間が利用者に受け入れられ後の復興の一助となったのだと考えられる。緊急時の仮設施設はもちろん早急に建てることも大切であるが、後の復興を見据えた上で利用者の事情を丁寧に考えることも重要なのだと感じた。
講演の後半は坂さんが行う被災者・難民支援の内容についてであったが、世界中に支援の手を伸ばし、かつ被災者の元に早急に向かっている点が非常に印象的であった。建築物を通した空間提供が建築士としての職務であるが、建築物の恩恵にあやかれない人々に対しても快適な空間を提供することも建築を生業とする人間の社会的責務の一つではないかと感じた。
R26:市之瀬航生
今回、坂茂さんにご講演頂き、建築が社会にもたらす影響、貢献についての知見を得ることができたと感じます。坂さんの建築を見ると世界初の紙を主体構造とした紙管の建築やコンクリートの代わりに木の土台を使用するなど環境問題を意識した建築が多いと感じました。また、ゴルフのボールを置くティーから発想を得た木の柱や楕円形の梁を使用した建築など木造をアイデアでうまく使っている印象を受け、新たな視点を建築に落とし込むことが重要だと感じました。講演の最後に建築が愛されるためには「使う人たち、地元の人たちが気持ちよく使うこと、誇りに思われる建築をつくることが大切」と話されており、私も使う人たちを考えた誇りに思われる建築の設計に取り組んでいきたいと思います。
R27:大場玲旺
今回の講演では世界で活躍する建築家・坂茂さんにご講演頂き、ご自身の作品のご紹介や災害・難民支援活動での経験談をお話しして頂きました。ご丁寧な説明と小話を交えた、とても大きな学びとなった講演会でした。
坂さんは建築家の仕事は歴史的に見ても特権階級のためのものが多く、自分の知識や経験を一般の困っている人に使えないかと感じ、それからは世界中の被災地を駆け巡り、自ら現地の人々とコミュニケーションを取り、そこに何が必要なのかを見て活動をされています。行動するの前に考えすぎる僕にとっては、その行動力の凄さに驚きました。
僕は坂さんが最後の質疑応答でおっしゃった「有名な建築家が建てたものやどんなに強い構造で作られた建築物であっても、利益目的の為に作られたものは仮設的で、人々に愛されていくものこそパーマネントな建築である。」という言葉に強く感銘を受けました。僕も坂さんのように自分の学んだ技術や労力を人のために活かせるような建築をつくりたいと思いました。
R28:寺崎唯純
今回の講演では坂茂さんにご講演頂き、国内外のプロジェクトや難民・災害支援活動などの事例を交えながら作品づくりと社会貢献の両立についてご説明頂きました。以前から紙管を用いた建築は魅力的に感じていたため貴重な時間でした。
坂茂さんの作品は、環境に配慮した建材を用いていて、利益目的というよりも社会貢献を目的とした作品が多いという印象を受けました。例えば、被災地への仮設住宅では、基礎をコンクリートからビールケースに変更することで1日で組立が可能であり、低予算かつ環境に配慮された仮設建築ができるのだと感じました。また、「いい建材を使った利益目的の建築でも地元の方々に愛されなければ仮設建築になり得るし、紙管で仮設的な建築だとしても地元の方々に愛されればパーマレント建築になり得る。」という言葉から、愛される建築をつくるためには何が必要かを考えさせられました。
私もこれから設計課題を行う上で、世界中のいい建築を見て、柔軟な思考で設計をしていきたいと思います。
R29:大塲舞子
今回は坂茂さんにご講演いただきました。中学生の時、紙の建築家というテーマで英語の教科書に載っていて衝撃を受け、初めて名前を覚えた建築家の方だったのでとても貴重な時間、かつ建築と社会貢献の関係について改めて考え直す良い機会になりました。
坂さんの作品は既成概念にとらわれず、建築の材料ではなかった紙管を使うことや木材の新たなジョイントの方法など、他の人にはない発想から生まれるデザインが魅力的だと思っていましたが、講演が進むにつれ、災害に困っている人がいるところに自ら出向くそ の行動力が何より印象に残りました。「どんなに立派な建物でもお金儲けのための建築は仮設的、たとえ紙でできていて仮設的であったとしても人々に愛されればそれはパーマネントな建築」という言葉は講演の中でも特に感銘を受けた言葉でしたが、自ら被災地に出向き、色々な境遇の人と関わってきたからこその言葉の重みを感じました。 私も建築に関わる者として人々のために何ができるかを考え、学んできたことを活かして社会に貢献したいという考えは漠然とありましたが、今回の講演を通して重要なヒントが見つかったと思います。
R30:後藤駿之介
今回の講演では、坂茂さんにご講演頂き、自身の建築をどのように計画しているのか・災害時に利用するシェルターができるまでどのような活動があったのかをコミカルな内容を含めながらお話を聞かせていただきました。
ご講演から私は仮説建築とパーマネント建築の違いについての内容が印象深く感じました。「紙でも大切に使われることでパーマネント建築になる」とお話しされていたことから、固定観念にとらわれず新たな視点で物事を客観視されていると感じました。
私は今まで機能をどのように配置し、居場所をどこに置くかしか考えられていなかったため今後の設計課題などを行う上で,利用者に愛され長期的に使ってもらえるような設計をしていきたいと思いました。
R31:宮澤太陽
今回、坂茂氏の講演を聞き建築に対する姿勢や世の中での建築の立ち位置を改めて考え直す機会になったと感じている。
坂氏の建築に使われる建材を見ると環境問題への意識が強いことが感じられた。さらに、災害においての建築家の立ち位置に対しても自分事として考えていた。災害で人が亡くなる理由の一端に建築物がある。それに加えて、悪い表現になってしまうが災害後、建築家は仕事が増えるだからこそ建築家は災害支援に積極的でなければならない。この2つの考えが坂氏の行動力や建築手法に起因するのだと感じた。
私の中で建築作品はデザイン性や利便性、コンテクストの読み込みなどが評価指針であると感じていた。しかし、坂氏の「人に愛される建築こそパーマネントであり、すぐに取り壊されるお金儲けの建築は仮設なのだ」という言葉を聞き建築において最も大切なことに気が付くことができた。
R32:中野宏太
今回の講演では坂茂さんにご講演いただきました。坂さんの設計された建築の紹介と共に建築についての考え方やそれを成すための手法について教えていただきました。坂さんは被災地支援に積極的な方で国内外様々な被災地に訪れ、建築的な手法から多くの人を助けています。講演の中で紙管を使った避難所のパーティションについてのお話がありました。紙管のパーティションは前例のないものでありはじめ頃は受け入れられない物でしたが次第に受け入れられ現在には防災備蓄として使われるようになっています。新たな建材である紙管や新たな避難所の形である紙管パーティションはその利便性から今後も広がり世の役に立つでしょう。社会貢献となる設計とはこのようなことだと感じました。私も世の中に貢献できる設計者を目指します。
R33:小山内里奈
今回の坂茂さんの講演を聞いて、私は建築において建築について理解を深めることができた。
坂さんは、復興の仮設住宅において、紙管を使用していた。この紙管は、一見紙で作られているため、耐久性に欠けるように感じてしまうが、耐久性に優れ、入手しやすく加工もしやすい、さらに早急に作れるとともに、復興において利用者側の配慮も行われていることが分かった。そういった新しい価値観をマイナスのイメージがあるものから生み出すことが大切だと分かった。 そう言った部分において、自分の個性を出すためにも旅に出る、様々な建築に触れることが大切だとおっしゃっていた。また、質疑応答の際に良い建築を見ると日常にある建築の嫌な部分が見えてくるようになるとおっしゃっていて、成功するためには自分が今見ている以上、経験を積みに能動的に動かなければいけないと痛感した講義になった。
R34:菅谷心洋
今回の講演では、坂茂さんにご講演頂きました。 主に、作品のご紹介と被災者支援についてユーモアを交えながらお話いただき、大変貴重な時間を過ごすことができました。ご講演の中で事例の詳細を学ぶだけでなく、使用する建材や当時被災者が求めていたもの、災害における建築家の役割などのお話から、坂さんが考える建築の社会貢献への位置づけを理解することができました。
そして、「目先の利益に捉われたものが仮設的、人々に愛されるものこそがパーマネント建築」という内容が最も印象的でした。ターゲットに寄り添ったものを創造するからこそ後にパーマネント建築になると感じ、今後最も意識していくべきことだと捉えました。坂さんのような、地元の人に誇りを持ってもらえる温かい建築を目指していきたいです。
R35:石井琢夢
坂茂さんをお迎えしての講演会に参加した。以前からその人物像に惹かれ憧れていた建築家だったので興味深く聞かせていただいた。お話を聞かせていただく中で、講演会のタイトルにあるように建築を通して社会貢献しようとする姿勢が印象に残った。災害支援をしたくて国連に手紙を出したものの返事がなかった時には、自ら国連を訪ねにジュネーブまで行ったり、震災で被災した教会に仮設の教会を建てる案を提案したが取り合ってもらえなかったときには、毎週新幹線で被災地まで足を運び神父さんを説得したりといった風に、建築という分野から人を救いたいという思いが彼を突き動かしているのをひしひしと感じた。「災害で人が死ぬのではなく、建物が崩れるから人が死ぬ。一方で建物が人を救うこともできる。」という信念のもと、建築という分野に責任を持ち、社会貢献を続ける坂茂さんに改めて憧れの思いを抱いた。大学で建築を学んだ先でどの道に進むかは人それぞれで、住宅設計のような対象が限定的なものもあるが、自分がかねてから興味を持っているのは公共建築というより多くの人に影響を与える分野である。将来多くの人の暮らしに責任を持とうとしている身として、建築を通しての社会貢献という視点を持ちながら更なる学びに向かっていきたい。
R36:庵本未優
今回は建築家の坂茂さんにご講演いただき、これまで携わられてきた作品から災害の現場で活躍する建築家としての在り方、社会貢献について考えさせられる貴重な機会となりました。 坂さんが以前から取り入れられていた紙管や木などの再生材を用いた建築は環境に配慮されているだけでなく災害現場においても効率的に被災者の生活環境を整えるとても重要な役割を果たしていることが分かりました。しかしそれらは常に坂さんの社会貢献に対する姿勢や行動力があってこそ果たされるものであって、営利目的でない、人々に愛されるものこそパーマネント建築だと仰られていた言葉が強く印象に残りました。
今後は社会貢献を一つの観点として取り入れながら建築と向き合っていきたいと思います。
R37:北島拓弥
世界で活躍される坂さんの貴重なお話の中で、社会問題に対しての姿勢や、紙管や瓶ビールケースなどを利用した経済的で即興的な建築など勉強になる事柄は多かったが、印象に残ったのは、永久的な建築と仮説的な建築の違いは何かというお話だった。力強いRC造で造ったとしても30年も持たずに取り壊される。一方紙管で造った教会は、災害後の仮説的なものであったとしても人に愛されて利用されることでその後も残り続ける。大事なのはその土地のその人々に愛される建築を建てることで、それは豪華で煌びやかで強いものとは限らない、むしろ親しみやすく人の心の拠り所となるようなものが建築の持続に繋がるのだと感じた。
建築には用強美の三大要素があるが、坂茂さんの設計する建築はどれも欠けることなく、お互いを補完し合うような魅力を感じた。それは人ひとりひとりに向き合い配慮した結果の物種であると感じ、自分もそのような思考を大事に育てていきたいと思う。
R38:佐藤一貴
今回の坂茂さんの講演を聞いて私が一番印象に残っているのは「仮設建築」と「パーマネント建築」の違いです。コンクリートで作られた建築でも30年も過ぎると壊されて無くなっていってしまう現代社会において、坂さんの建てた協会は構造を紙管で作っているのにも関わらず長い年月をかけて国境を越えてまで愛されている、使う人が誇りを持って愛してくる建築であれば素材に関わらず「パーマネント建築」になるという内容でした。また日本と海外の違いについて、海外に比べて日本人は公共建築を税金の無駄遣いと捉える人が多いため、公共建築がパーマネント建築になる事が難しいというものがあり、今後の日本で、長く愛される建築を作る事の難しさに気付きました。
「良い建築かどうかを判断するには国内外含めて多くの良い建築を見なければならない」と最後の質疑応答て坂さんが仰っていた様に、建てる側だけでなく、使う側もその建築を愛するための知識を持つ事が現代の日本において「パーマネント建築」を生み出すための一つの要因になるのではないかと講演を聴いて感じました。