【レクチャーレポート】06~22
R06:大場玲旺
今回の講演では、高濱史子さんにご講演頂き、海外の設計事務所での活動経験から感じたことや素材の特性を活かした設計プロセスや思考の過程などのエピソードを様々なプロジェクトの紹介と共に聴かせて頂きました。高濱さんの作品はどれも洗練されていて美しく、品がある佇まいをしている印象を受けました。その場の空気感や時間、ストーリーを読み取り、形だけでなく素材に至るまで建築と向き合っているからこそ、そのような空間を生むことが出来るのだなと感じました。
日本と海外の違いについて、日本は設計においてコンセプトにこだわりを強く持ち時間や期限の制約の中設計しているのに対し、スイスの建築事務所では様々な人がプロジェクトに参加し、自分の色を表現していきデザインが重ねられていくといったように、建築へ向き合う姿勢は同じでも、時間のかけ方が違うということを知ることが出来ました。
最後に高濱さんは「型にはまらず、自分がいいなと思うものを信じて突き詰めていくことや建築以外にも目を向けたり、時間をとってみたりすることも大切」だとお話しされてました。
私は周りに流されてしまいがちなので、設計課題においても自分がいいなと思ったことを信じて追究していけるような建築への向き合い方をしていきたいです。
R07:寺崎唯純
今回の講演では高濱史子さんにご講演頂き、海外の建築事務所でのインターン時のプロジェクトや現在までの国内プロジェクトの事例を交えながら素材の特性やコンテクストを生かした設計や思考のプロセスをご説明頂きました。
高濱さんの作品は、素材の良さを生かした型にハマらない自由なデザインという印象を受けました。例えば、Maebashi Shed2では、雨垂れの配置によって雨をデザインに取り込んでいることから、個人的な意見ではありますが少しマイナスなイメージのある雨もデザイン次第でプラスのものに変えられるのだと感じました。また、JINS本社の床面に収納可能な組立て式のイスを用いた原っぱに見立てたオフィスや Christian DADAの枯山水に見立てたディスプレイなどのように全く違う素材で表現されているデザインにより、そこにしかない空気感が生まれるのだと感じました。
私もこれから設計課題を行う上で、自然のものをデザインに取り込むことやここにはこの素材を使うなどのように型にハマらずに柔軟な思考で設計をしていきたいと思います。
R08:久保山有紗
今回のレクチャーでは、高濱史子さんにご講演頂きました。海外の建築事務所での作品から、国内のプロジェクトまで多くの事例を紹介して頂き、素材とコンテクストから考えるということを学びました。
まず私が驚いたのは階段を利用した棚のデザインでした。階段という上や下に移動する手段であるものを、一段一段を棚として捉えていて、身近にもアプローチの仕方によって様々なデザインがあるのだと感じました。次に、敷地の配置方法では、南北に伸びている敷地の場合、庭の配置をつい南側の道路に面していないところにまとめて置きがちなものを、南北に長くとることで身体的に広く感じることができるなど、空間の捉え方を学ばせて頂きました。また、内側を外側に見せたい時に、自分も周りをガラス張りにすることで見せるという考えをしますが、内側の見せ方も日差しを用いて光の反射を減らす方法、内側を光で満たす方法など、ここでもアプローチの仕方について学ばせて頂きました。
私はこの講演を通して、今後の設計で様々なアプローチ方法で問題の解決策を考えていきたいと思いました。
R09:石井琢夢
高濱史子さんをお迎えしての講演を聞かせていただいた。スイスでのインターン時代から現在進行中のプロジェクトまで、様々な作品を見させていただく中で、表現の幅の広さが印象に残った。写真を鏡に見たたせるインスタレーションやガラスの硬いイメージにとらわれずに薄いガラスを曲げながら作るパビリオンなど、初期から新しい試みに挑戦しておられて、その姿勢が今の素材を生かした幅広い表現につながっているのだなと感じた。
後半の質疑応答の中で、日本と海外の時間のかけ方の違いについて話されていた内容も印象的だった。7年間で一つも完成したプロジェクトがない人も一緒に働いていたと聞いた時は驚いた。ただ、それほどじっくりと場所やコンテクストを読み込み、時間をかけて練っていく建築こそ本来のあるべき建築の姿であるとも感じた。納期に追われ、どこかで妥協が入る建築より、形や素材を何度も吟味し、細部まで考え抜かれた建築のほうが感動を与えることは間違いない。
今後の学びのなかで、高濱さんから学んだコンテクストを深く読み込む姿勢と素材によって表現の幅を広げることを意識して、設計を行っていきたい。
R10:大塲舞子
今回は高濱史子さんにご講演いただきました。海外でのインターン時の作品から現在のプロジェクトまで様々な事例をご紹介いただき、デザインの中で素材が生き生きとしていることが印象に残りました。
質疑応答の際、素材の見たことのない表情を生み出すために、海外でのご経験を活かし自由な考え方を忘れないようにしているとお答えいただき、設計の中で決まったものにとらわれないよう柔軟に考えていくことを心掛けていきたいと思いました。例えば前橋の商店街再生の事例では、外壁の煉瓦の間隔を少しずつ離して貼ることで、材料が足りないピンチの中から煉瓦のグラデーションという新しいアイデアが生まれており、苦しい場面でもデザインの力で乗り越え形にして応えることで、そこにしかない空気感が生まれるのだと感じました。
また、海外でのご経験が大きく自身の設計に影響しているとお話されていて、学生時代から自分の興味あることに積極的に行動することで実務経験に生かされるのだと感じました。私も自分の好きに真剣に向き合って行動し、自分の進路を確かなものにしていきたいです。
R11:蓮沼志恩
今回の講演ではスイスでの実務経験から日本での活動までの、素材とコンテクストによるデザインを振り返りながら高濱史子さんにお話を聞かせて頂きました。
スイスでの什器と写真でのインスタレーションをはじめ、大磯の大きな家や前橋シェッドとそのテナントであるなか又、銀座の老舗わこうの新宿の店舗、そして現在進行中の移転するJINS本社の設計など、「空間を拡張する」という趣旨の設計が印象に残りました。空間の拡張方法として、コンテクストによるボリュームデザインや設計方法によるものと、素材の使い方によるものがあったと感じました。
その中でも、JINS本社の設計はチャレンジ精神を失わないために壊されることが決まっているビルに移転する計画で、「壊しながらつくる」というコンセプトでした。社員がインスピレーションを受けるためにオフィス×美術館に取り組み、建築を引き算しそこにアートを足していく操作は、まさにオフィスの既成概念を壊し、建物も壊しながら場所を見つける設計でした。
素材とコンテクストによって「空間を拡張する」ことについての新たな気づきを、自身の設計に応用していきたいと思います。
R12:一ノ瀬愛弓
この度は貴重なお話をありがとうございました。高濱さんの建築は、色彩や空気感、雰囲気が繊細で綺麗だなと講演を通して実感しました。ビールのコースターで花を表現したり、鏡に映るであろう空間を想定した写真を使用したり、水溜まりを艶のある床で表現したり、雨だれを設けることで雨のカーテンを表したり、日常からの発想・発展に感銘を受けました。日頃、自分が良いなと思った瞬間を表現できるかもしれない、身の回りにあるものからアイデアが浮ぶかもしれないことを改めて認識させられました。Maebashi Shed 2では、小屋自身が発信力のあるものとなるために、天窓から光を入れ、バックヤードから屋根へと反射、ギャラリーが光で満ちた空間となり、地域(外)へ溢れ出るという光の動線をみることができました。光は、遮ったり室内に入れたりするだけでなく、室内を移動し外からの見え方を変化させることも出来るのだと再認識できました。 今回の講演を通して、建築や素材による自由な表現方法を学ぶことができました。心が惹かれるお話をありがとうございました。
R13:小島徹也
今回のレクチャーを通して、海外留学や海外勤務の実情に関する点と外的要因から空間構成を創り出す手法に関する点の2点において新たな知見を得られたと感じている。まず海外経験についてであるが、私は海外の設計現場では質的にも時間的にもストイックなものであると想像していた。そのため、海外の現場に割とルーズな側面があり自由な発想を引き出しているという話は意外かつ興味深く感じた。また、日本に帰国してから各種の規格について苦労した話から、日本での実務経験の前に海外経験を積んだことが発想の幅広さに寄与しているのだと思った。空間構成を創り出す手法としては構成の単位ごとにストーリーを作ることが有効策の1つであると感じた。JINS本社の移転改修事例では階層ごとに明確な用途に関する物語が設定されているため利用者、訪問者の迷いのない活動が実現できるのだと思った。
R14:後藤駿之介
今回の講演会で高濱史子さんにご講演頂き、講演を通して、新しいものに目を向け挑戦していくことの大切さ、考えるだけではなく行動に移すことの重要さについて学ぶことができたと感じる。AGCガラスコンペの事例では、ガラスは硬いというイメージの固定観念にとらわれずに薄いガラスを使うことで曲げることを可能にして作品を生み出したという内容などから新しいことに挑戦すること大切さを学ぶことができた。また、前橋の商店街再生の事例では、考えていく中で模型をたくさん作って計画を練っていたことが分かった。学生時代にスイスへインターンシップに行き仕事をすることで学んでいたことなどからも行動に移すことで課題を解決し、達成していったことが多いように感じた。これらのことから、行動の大切さを学ぶことができた。今回の講演から学んだ新しいものに目を向ける・行動をするといったことを今後の自分の経験で意識しながら設計などに取り組んでいきたいと思った。
R15:菅谷心洋
今回の講演では、高濱史子さんにご講演頂きました。 海外でのご経験から帰国後のプロジェクトを重視した、設計や思考のプロセスを学ぶことができました。
特に印象的だったのは、前橋の商店街で外壁の煉瓦の間隔を離していくといった貼り方の工夫や、クライアントから提示されたワードが相反するものであったという内容です。
苦しい局面をデザインの力で乗り越えること、クライアントの意向を汲み取り、それを形や言葉に変換すること。大変なことながらも、設計を行う上で非常に重要なことであると考えました。また、高濱さんの建築家としてのやりがいを感じることができた貴重な瞬間でもあり、私も社会人としての未来が大変楽しみなものとなりました。
R16:庵本未優
今回のレクチャーでは高濱史子さんにお越しいただき、海外でのインターン活動を経た国内外のプロジェクトを通じて、素材から空間を生み出すということについてご講演いただきました。
ブティックのインスタレーションで鏡の反転を応用して空間の拡張を再現するプロジェクトやガラスのパビリオンなど、建築的要素以外から、素材からアプローチすることでこのように空間が生み出されるのは不思議な感覚を覚えました。しかしそれらには海外での活動から丁寧なリサーチがあるからこそ良いものが誕生すると分かりました。日本と海外でプロジェクトのスピード感の違いはあれど、空間を読み込むことに対して妥協しないように取り組んでいきたいと思いました。
R17:小山内里奈
今回の高橋史子さんのご講演を通して、素材の利用に対して日本とは違った視点でのアプローチの仕方について学ぶことができた。素材を違ったアプローチをすることによって、素材に対しての従来のイメージを変えさせることができる。また、素材のイメージを変えることによって建築の中でさらに新しい印象を与えることができると学ぶことができた。
また質疑応答の時間で、有名建築でなくとも自分がすごいと思った建築や人がいたら、最後まで突き止めて分析することが大切だとおっしゃっていた。今後の設計をしていく上で、有名建築から知識を得ることはもちろん重要なことだが、スイスの設計事務所のように大人数で設計していく際に、自分の特徴を表現するためにも自分が感銘を受けたものに対しては評価関係なく突き詰めていかなければいけないと改めて学ぶことができた。
R18:市之瀬航生
今回、高濱史子さんにご講演頂き、海外活動を通しての経験や行ってきたプロジェクトでの思考の方法、エピソードなどを聴かせて頂きました。様々なプロジェクトのお話を聴かせて頂く中で、ビールのコースターでつくる花の展示や実家の階段に物が置かれていることから階段を使った空間の延長をした事例など身近なことからアイデアを得ている印象を受けました。このことに関して高濱さんは、「その街の空気感を感じること」「いろいろな場所に身を置くこと」「建築以外のことも考えること」が大切と話されており、私も建築だけにとらわれるのではなく広い視点からアイデアを考えていけるようにしたいと感じました。
また、スイスでの経験を通して自分が良いと思ったものを掘り下げていく大切さを学ぶことができたと話されていました。私も自分が良いと思ったことを信じ、これからの設計課題に取り組んでいきたいと思いました。
R19:中野宏太
今回のレクチャーでは高浜史子さんにご講演いただき、海外での活動から日本での現在のプロジェクトまでご紹介頂きました。海外と日本の違いについて窓のサッシやドアの規格外決まっていることに驚かれたとお話がありました。高浜さんの幅広い表現はこのような海外経験から得たものなのだろうと考えました。また前橋市での商店街での事例では、費用面からレンガが一面分足りなかったという問題がありましたが、レンガの間隔をグラデーションにし、デザインに落とし込むことで美しく解決していました。私の今までの課題の設計では素材やテクスチャまで詰められず曖昧だったため、設計を振り返りデザインを考えたりこれからの設計にも活かしたいと思います。
R20:北島拓弥
高濱さんから貴重なお話をいただき、痛烈に感じたのは「固定概念からの脱却」による考え方の大事さだった。ご講演のなかで、固定概念から抜け出す等の思考内容を明言されてはいなかったが、今回ご紹介いただいたプロジェクトの中で、共通して高濱さんが心のどこかでそのような思考を持ち続けながら作品を作り出しているのではないかと感じた。
ガラスは硬くて板状のものであるが、極限まで薄いガラスをカーテンのように扱うことで、布などでは表現できない軽やかさやレイヤーの重なりによる視線の通りの変化を生み出していたし、商店街のプロジェクトでは、普通の商店街では見ることのできない店舗の屋根形状に着目し、ファザードの抜け感やデザインを作っていた。オフィスでは、規格された事務机を、空間の変化に柔軟ではないものとして捉え、簡易な机を制作することで、オフィスに対する社員のエンゲージメントの向上に寄与していた。 建築家やデザイナーとして、新しいものを作るという意味では、固定概念から抜け出すということは必須といえることかもしれないが、それを重視するあまりに機能面やその他の面で不具合が生じ、デザインの一人歩きが起きてしまう恐れもあるといえる。建築には用・強・美が求められ、一つでも欠けることが許されない。この三つを満たす固定概念からの脱却の思考プロセスを意識して、今後の活動を行っていければと思う。
R21:佐藤一貴
今回のレクチャーでは高浜史子さんにご講演頂き、海外での活動を通して身に着けた設計における素材感やコンテクストに対する自由なアプローチを、国内外で手掛けたプロジェクトを通して紹介して頂きました。
繊細で扱う事の難しい最新のガラスを用いたガラスのパビリオンや鏡の反射を用いたブティックのディスプレイ、レンガの幅をずらす事によるグラデーションとコスト削減など、「こうでなくてはならない」という日本人特有のルールや思考に捉われない自由な発想はまさしく海外での活動からくるものなのだと強く感じました。
本来なら海外での活動からでしか得られない「概念や決まり事に捉われる事のない自由な思考」を学ぶ事が出来、今後の自分の設計にも取り入れていきたいと思いました。
R22:宮澤太陽
今回の公演は海外での経験を活かし活躍されている髙濱史子さんにご講演をいただきました。海外での設計事務所の活動経験から得た素材の特性の活かし方や設計のプロセス、空間演出の仕方などを時系列に担当したプロジェクトと共に聞かせていただくことができました。髙濱さんの作品は、それぞれの土地や歴史、人々の考え方などを素材や空間構成に落とし込仕込むことで洗練されつつも、落ち着きのある世界観の演出に仕上がっていました。それは、髙濱さんの持つ素材の活かし方、海外設計事務所での経験からくるものなのだと感じました。また、白色の使い方に感動しました。白色は完成度の高さや独特の世界観の演出によく使われるように感じています。しかし、白色は気軽に使える一方、うまく使うことが難しいと感じています。その点で、海外を経験された建築家は皆さん色の使い方がうまいように感じます。私は、白が生み出す空間の世界観や空気感に興味があるので研究したいです。
髙濱さんの「型にはまらずに、自分の好きなことを突き詰めることも大切」という考え方を大切にし、私の中での建築の考え方や向き合い方、世界観の作り方を研究していきたいです。