【レクチャーレポート】105~120
R105:寺崎唯純
今回のイブニングセミナーでは、茶の湯の基本を守りつつ現代に合った創意工夫を加えた独自のスタイルを構築している松村宗亮氏にご講演いただき、自由な発想で新たな価値を生み出していくことが重要であるという学びが得られました。
私は、茶道は茶室で行うものだと考えていましたが、今回の講演でデコトラ茶会や光と風の牧場ゆめ茶会などのように、派手な演出の中で茶会を行っていること感銘を受けました。茶道の歴史や様々なプロジェクトを交えながらご説明いただいた中で、千利休をはじめとする茶人たちによって異なるデザインの茶碗や茶室を使用しており、価値観や美意識が発露する場となるのが茶の湯であることが理解できました。また、SHUHALLYの小間は歴史的背景のある四畳半という広さは守りつつ、漆黒の壁面やいぐさと光る繊維素材を用いた光畳をしており、基本を守り、創意工夫を加え、独自のスタイルとして確立するという守破離の思想が現れていると感じました。
このような思想は建築分野においても重要なことであり、守るべき軸を決め、創意工夫を重ね、独自のデザインを確立することで、建築の表現の可能性や新しい価値を生み出していけるのではないかとこの講演を通して再認識しました。
R106:石井琢夢
松村宗亮氏による「茶の湯とデザイン」の講演を聴かせていただいた。松村氏は茶の湯の新しい形を模索し続ける茶人である。現代人には馴染みづらい伝統文化を、時代に合わせて形を変えることで継承していこうとする取り組みは多くあるが、松村氏が行う活動もその中のひとつに位置づけられるだろう。
現代人の気を引く為に独自性や斬新さを求めようとすると、創意工夫を加えながら新しい形を生み出していく面ばかりが表に出る。しかしそこで重要視しなければならないのは文化の継承とは何かということである。松村氏は、巨大な茶碗をつくるなど独創的な取り組みを行っている一方で、茶道にある型やお手前といった茶の湯の基本を守ることを大事にしている。このように文化の根底にある基本を蔑ろにしないことが重要である。形から何まで変化して名前だけが残ったところでその文化は継承されていると言えるだろうか。
茶道に限らず多くの日本の伝統文化が、如何にして後世に文化を遺していくかという岐路に立たされている。やみくもに新しさばかりが求められる現代で、何を守り、何を変えていくか。現代に生きる私たちは文化の継承に当たり慎重になる必要があるだろう。
R107:平野鈴奈
今回は松村宗亮氏に、「茶の湯とデザイン」をテーマに講演いただき茶会に対する印象が大きく変わった。また、茶道に関しては過去に茶道教室に通っていたこともあり、講演を通して作法や歴史を再度学び自身の経験を回顧する良い機会となった。印象に強く残ったことは、茶室の空間の自由度や松村氏が挑戦している、茶道と他ジャンルとのコラボレーションを試みた茶会の挑戦である。
前者については、松村氏が茶の歴史を講演の前半で説明してくださった際、千利休が茶道具や茶室に革命をもたらし、また、様々な茶室の空間構成を展開させたことにより茶会の場の自由度が広がったことを初めて知った。茶道にはお手前といった作法があり、厳格な決まりがある故に茶会の空間自体にも決まりがあると勝手ながらに思っていた。しかし茶をする相手の親しみや時間の共有を重視した構造こそが茶室にとって重要なことであり、空間に関しては自由度が高く個や趣を表現できるという知見を得た。また、後半の松村氏の茶道の活動も踏まえ、茶会を行う空間は茶人の美意識や価値観を表すことで共に茶をする人へ共有していると感じた。
松村氏の、茶と他ジャンルのコラボレーションの挑戦や出版されている本の紹介を得て再び茶道への意欲が湧いたため、基本のお手前は厳格に守りつつ、茶碗やかえし、菓子などに自身の美意識や価値観を、茶道具を用いて表現することに挑戦してみたい。
R108:大場玲旺
今回は茶の湯の伝統を守りつつ、現代的なアプローチと積極的な他ジャンルとのコラボレーションで独自のスタイルを構築し、多数の茶会をプロデュースし活躍されている松村宗亮氏にご登壇いただいた。
講演の前半では千利休が確立した茶会の価値の逆転と現代にも継承され続ける侘び・寂びへの美意識についてお話して頂いた。茶室は単なる物理的な空間ではなく、身体の動きや感覚、精神的な体験を深く結びつけるように設計されている非常に興味深いものであった。例えば、畳2畳から4畳半程度の小さな空間は、身体の動きを制限し無駄のない所作を促している。出入口が低く設計された「躙り口」は、室の中ではすべての人が平等であるという茶道の精神を象徴している。また建築だけでなく茶碗の重さや形状など、小さな道具1つ1つも身体の感覚を研ぎ澄ます空間要素として、茶人たちは意識を及ばせながら設計していたことを学んだ。そのような、小さな操作や要素が空間への体験に大きく影響を与える得ることを、改めて意識して自分の今後の設計に活かしていきたいと思った。
後半では宗亮氏のオリジナル茶室の作品をご紹介いただいた。ヴェネチ庵茶会、デコトラ茶会など興味深い茶会の紹介があったが、一貫して感じたのは茶室には正解も不正解もなくまたまだまだ計り知れない可能性があるということだ。何かと何かを掛け合わせることで新しいものを生み出す発想は、イノベーションやクリエイティブな思考において重要なアプローチだと考えた。
そして最後の守破離という教えは私自身初めて耳にしたが、「基礎をしっかりと身につけた後、型を破り、独自の道を切り開き、確立する。そしてそれらをまた繰り返す」という学びのプロセスを今後の学びに取り入れることで、自分のさらなる成長につなげていきたい。
R109:一ノ瀬愛弓
今回のイブニングセミナーでは、「茶の湯のデザイン」をタイトルに松村氏にご講演いただいた。私自身、茶室が好きなためとても勉強になりました。
千利休の革命の話では、それまでヒエラルギーがあり、尊厳さをもち、道具を自慢するような場であった茶の湯の空間を、より狭く暗く道具も質素にしていくことでヒエラル
ギーを除いていき、茶室を茶の湯に専念できる空間にしていた。千利休は狭く暗く何も見
えないような空間で茶の湯をすることで五感を研ぎ澄まさせ、頭の中で世界や自然を感じ
取っていると以前読んだ書籍に書いてあったため、自分の茶人としての茶の湯への価値
観・美意識を発露していったのが待庵だったのだと改めて学ぶことができた。小堀遠州の
茶室も窓の下の部分だけを切り取り全てを見せないことで、その先の自然を想像させ、世
界や自然とつながることを意識しているとされているのを茶の湯の空間で表していること
を知れた。松村氏の創る茶の湯の空間は斬新で、(デコトラや水の波紋のアクリル板、土に還る茶室など)その斬新さや楽しさ等で心の動いたものを茶の湯を通して共有していて、松村氏の価値観・美意識が発露していた。
今回の講演を通して、自分以外の何かとつながることが茶の湯を楽しむ意義なのだろうと感じた。茶の湯が様々な茶人の価値観・美意識を発露する場にしようとした千利休の思想は、松村氏の講演を聞いて現代にも伝わっているんだなと強く実感した。
R110:蓮沼志恩
茶の湯の基本を守りつつ現代に合った創意工夫を加えた独自のスタイルを構築し、世界的に活躍されている松村宗亮氏の講演を通して、私は自身の価値観への向き合い方についての学びを得た。
前半は千利休以前と以後の茶の湯の変化を学び、茶の湯に基本はあれどもルールはなく、茶人が自由に自身の美意識や価値観を表現する場であることを知った。後半は松村氏の美意識や価値観を表現した茶の湯として、松村氏の茶室や茶道具が紹介された。中でもアクリルで作成した茶杓が印象に残った。茶人にとって茶人そのもののように扱うという茶杓をアクリル製にすることで、これまでの竹ではできない色や質感を表現しており、400年前の人が作った茶道具でお茶をすることもある茶の湯の世界で、100年後の自身の見られ方を意識したプロダクトのように思えた。
全体を通して学んだ“守破離”という考え方は、自身の価値観を時と物に反映させるサイクルであり、松村氏は茶の湯の身体的なスケール感は維持しつつ、素材や見せ方を変えることで価値観を反映されていた。この守破離は建築においても大切であると思う。時代や技術は変わっても身体スケールは変わることがなく、その基本を踏まえているからこそ建築として成立するのである。今後、建築を考えていくうえで守破離を意識して、何度も基本に立ち返りながら新たな建築を模索していきたい。
R111:後藤駿之介
今回は,独自スタイルの茶の湯を通して日本の文化を伝えることで国際的に活躍されている松村宗亮氏にご講演をいただいた。
自分は茶の湯や茶道に対して固いイメージをもっていたが,今回の講演で他の伝統芸能や他文化とコラボしている写真や動画などを見て,実際にコラボしている茶の湯を見てみたいと興味を持った。
また,講演会で松村氏から千利休からの時代や変化を守り,尊敬しつつ新しいことを取り入れ挑戦していくことの大切さを感じ取ることができた。講演会前半にあった茶室の歴史の説明であった壁や窓による工夫,道具の柄や形などすべてにおいて茶人がプロデュースしていたという内容から,自分も設計する際に,空間に対して目指している領域・仕組みを作るために壁や窓などの細かい部分も考えることを今後は意識していこうと思った。
後半にあった守破離の考え方に関しては,自分は高校で弓道をやっていたため,基礎の大切さを理解したうえで少しずつ自分に合った形を見つけ,再度基礎を振り返るという反復の大切さや基礎の重要度を再度思い出すことができた。改めて基礎・反復の大切さに気付くことができたので,今後の設計や自分の行動などにも活かしていきたいと思った。
R112:小島徹也
今回のイブニングセミナーでは茶人の松村宗亮さんより「茶の湯とデザイン」という
テーマで講演をしていただいた。茶道に関してほとんど知識がなかったため全体を通して
興味深く聴講した。
公演の前半では歴史上の茶人であり侘茶の完成者とも知られる千利休の功績について学んだ。千利休が活躍する以前の茶の湯は道具や装飾の自慢が中心でいわば茶人の権威付けのために行われていた。千利休はこのような茶の湯の文化に一石を投じ、道具や装飾を質素な日常道具に置き換えることによって、茶の湯を茶人の権威の発露の場から価値観や美意識の発露の場へと変えたことを知った。千利休によるこの変革によって茶人は茶を点てるだけでなく、茶室や庭園、道具を含めた茶にかかわるすべての空間を生み出すように
なったことから、茶人は広義的に見た時の建築家ともいえるのではないかと感じた。
松村さんの生み出す茶の湯の空間はデコトラやヒューマンビートボックスとのコラボなど先鋭的な思考のもと活動していると思ったが、公演全体を通して振り返ると茶人の価値観や美意識を強く発現させたものであると感じた。保守的な思考のもと伝統を守りつつ、茶の湯の普及に向けた変革を続けている姿勢は文化を後世につないでいくうえでとても重要なものであると思う。
R113:市之瀬航生
今回は、茶の湯の基本を守りつつ現代に合った創意工夫を加えた独自のスタイルを構築し世界で幅広く活躍される松村宗亮氏にご講演いただいた。私は今回の講演を聞くまで茶の湯に対して堅い印象を持っていたが、前半の千利休の功績や後半にお話しいただいた松村氏が実際に行う活動から私が持っていた印象は変わり、実際に体験してみたいと感じた。
講演の前半は千利休がした3つの革命を中心に茶の湯の歴史について学んだ。なかでも印象に残った茶室に関する革命では、客が入る空間を2畳と狭い広さに設定したが、客側だけ天井を高くしたり、素材や色の塗り方で奥行を持たせるなど茶道具を飾る部屋から茶をする部屋へと道具を感じさせない空間にすることによって、茶人の価値観や美意識を発露させる場へと変えたことを知った。後半では、松村氏が行うデコトラ茶会や様々な分野とコラボした茶会の話を聞き、新しい取り組みを行っていると思ったが、講演を通して守破離の思想に基づき、基礎や歴史を守りながらも新しいものを生み出していくことで茶人としての価値観や美意識を表現しているのだと感じた。この守破離の思想は建築にも通じるものがあり、私も今後、新しい空間を創り出す建築を追求する際にこの思想を意識していきたいと思う。
R114:庵本未優
今回は、お茶の伝統を継承しつつも、現代における茶道スタイルを切り拓かれてきた茶人、松村宗亮氏にご講演いただきました。これまで茶の湯には厳格なイメージがあり、お茶を点ててお茶菓子を食べる文化と認識してきたものが、講演の冒頭で紹介されたデコトラやインスタレーションなどの異文化と融合された「茶会」によってイメージが覆され、形態の独創性に衝撃を受けました。また千利休の三大革命の話では、二畳という狭さと暗さが精神性を向上させたり、感覚を研ぎ澄ませるための空間を成り立たせていることを初めて知りました。そのうえで天井高や素材などに工夫を施すことで親しみを持たせており、茶人の価値観や美意識の現れである「茶室」という空間にさらに興味がわきました。
千利休から受け継がれてきた伝統文化を読み解き、現代文化と絡めた活動をされている様子はまさに「守破離」が体現されており、基礎を身につけた上で自分の色を出していくことはデザインを学ぶものとして重要な考え方として心得たいと思いました。設計において私は「破」の段階の塩梅が難しいと感じていたのですが、基本に立ち返ることや一度大胆に進むこと、守破離の考えを繰り返すことで試行錯誤を続けていきたいです。
R115:羽山和
日本の現代茶道家であり、伝統と現代の融合をテーマにした活動をしている松村氏のご講演を通して、照明の配置や明るさ、色味を工夫することで空間に特別を与えること、また、伝統には基づきながらも柔軟な視点で物事を再解釈することの可能性を学んだ。現代における工業的な侘びさを再現した茶室や、床にデジタル技術を用いた茶室、掛け軸や茶菓子を含めたストーリー性のある茶室。事例を拝見した際には、光、道具の配置が細部まで計算されているため、空間がもつ奥深い意味や特別な感覚を覚えました。
講演の前半では、松村氏が考える千利休の三大革命について詳しい説明をしてくださり、当時の利休茶屋から考えられる侘びさというものが理解できた。それとは反対に、系譜には沿ったままであるが、現代における松村氏の価値観や美意識を組み込んだ茶室の工夫から、侘びさを表現する可能性の斬新さと壮大さを感じた。
秀吉に仕えてお金を持つようになった千利休でも、道具に頼らず、茶人に茶室を「茶をする場」として楽しんでもらえるように、自分なりの創意工夫をしていたというお話があったように、私自身も建築を学ぶ上で、何かを頼って本質を見失わないことはもちろん、各コンセプトに沿った「らしさ」の表現の幅を固定概念に囚われずに、大胆斬新にすることも大切だと考えた。
R116:吉野仁輝
お茶の歴史から松村さんのお茶に対する考え方までいろいろなお話を伺いました。その中で千利休の茶室の空間構成ではものすごい細部にまでこだわって作りこまれていることや、また茶器も自らデザインされていることなど、お茶会という30分ほどの短い時間でいかに世界観を作りこみお客様に楽しんでもらうか考えつくされており、このお客様、利用者について考え細部までこだわるということは建築においてもものすごく大事なことだと感じました。また茶道具じゃないものを茶道具に見立ててお茶をより身近に感じてもらえるような世界観を作り出している点は、建築においても別の世界の物を建築に落とし込んで一体化させるということはよくやる手法だと思うが、どのように落とし込み世界観を作り上げるか参考になるものだと思いました。そして守破離の概念はお茶の世界のみならずどの世界にも通ずる素晴らしい考え方だと思いました。
設計においてもその建物の用途について本質を理解せずに浅い知識だけで作ると利用者の方が使いづらいものになってしまったりするため、基本をしっかりと知ることは必須だと思います。その上で自分らしさやオリジナリティを出して設計してみて、その設計を基本の立場で見直してブラッシュアップしていく。このように設計においてもとても大事にすべき概念だと思いました。
R117:白倉海翔
今回のイブニングセミナーでは茶人の松村宗亮さんより「茶の湯とデザイン」という
テーマで講演をしていただいた。
講演では前半は歴史。後半は松村さんの取り組みを学ぶことができた。
前半における千利休のお話では思想を感じさせるものがあった。茶室では、茶具を見せるのではなくお茶を見せたいという気持ちがデザインに繋がっていた。そういった思想が形として表すことができるのは茶人ならではであると感じた。そのため、思想の強さが美に大きく関係していると考えた。
実際、松村さんの活動は思想を生かしているものであった。茶の湯に現代を取り組み、創意工夫のあふれる独自のスタイルを構築していた。そういった中、茶の湯の基本をしっかりと守りながら行われていることに美しさを感じた。
これらは私が学ぶ建築にも活かせると考えた。建築の基本は守りつつ、自身の思想を取り組んでいくことで他にはない魅力が生まれてくると思った。また、茶人の守破離の考えを持つことでより良い建物を設計していくことができると感じた。
R118:山内結稀
今回のイブニングセミナーでは「茶の湯とデザイン」というタイトルで松村宗亮氏にご講演頂いた。この講演を通して、茶道具に革命を起こした千利休の茶の歴史やその価値観について多くのことを学ぶことができた。私は茶道に対して深く考えたことはなかったが、LEDパネルを用いたデジタル茶室やトラックをデコレーションした場でお茶をするなど普段の茶道とは違ったポップで斬新な一面も感じることができた。また、茶室に関してもお客様の方の天井を高くして敬う心を表したり、より狭く、暗くすることで見えないからこそ五感が研ぎ澄まされたりするなどの工夫を知ることができた。そして、松村氏が紹介していた茶道具や茶室を見ながら、そのデザインが使う人の心にどのように働きかけるのかについても考えることができた。松村氏の茶の湯とデザインを通じて、私たちが普段の生活の中でどのように美を感じ、どのようにそれを取り入れていくかが、最終的には自分自身の豊かな生活につながるということを実感した。
R119:野口健人
今回は「茶の湯とデザイン」というタイトルで茶人の松村宗亮氏より講演をしていただいた。茶道といえば厳格な伝統を重んじるイメージが強かったが、松村氏はデコトラやイルミネーションといった現代的な要素を茶道に取り入れるという柔軟なアプローチを行っていた。一方で、茶道の基本となる作法を厳守する姿勢も強調されており、伝統を大切にしながら革新を試みる姿勢に感銘を受けた。
松村氏の話から、茶道が持つ空間構成や道具へのこだわりは利用者の体験を重視する設計思想であることを再認識した。この考え方は建築にも通じるものであり、空間デザインにおいても使用者がどのように感じ、どのように利用するかを考慮した細部への配慮が求められる。特に、異なる文化や要素を建築に取り入れ、新しい価値を生み出す試みは、自身の設計においても取り入れたいと思った。
また、松村氏が語る守破離の概念は、基本を理解した上で創造を行い、その創造をさらに発展させるという流れを示しており、建築設計にも適用できる考え方であると感じた。私は今守破離でいうところの「守」の部分をとにかく大事にしている。今はそれでもいいと思うが、将来それからいったん離れたほうが自分のためになるのではないかと思う一方で、自分の信じてきたことをそんな簡単に切り離してもいいのかと思う自分もいる。この講演で聞き、学んだことを「破」の段階に行くために活かしたいと感じた。
R120:打越優音
今回は茶の湯の基本を守りつつ、現代に合った創意工夫を加えた独自のスタイルを構築しながら、様々なジャンルとのコラボレーションを積極的に行っている茶道教室SHUHALLY代表の松井宗亮氏にご講演いただいた。
この講演を受ける前までは、茶道とは千利休が確立した茶室のような狭い空間で専用の茶碗と道具を使用してするものであるものだと当たり前だと思っていたが、松井氏が設計された茶室を見た際は、薄暗く言われなければ茶室かどうか分からないような空間であり、自分の中にあった茶室のイメージを180度変えるようなものであった。また、松井氏がおっしゃっていた、自分が興味を持ったものは積極的に茶室などに取り入れたりしているという話がとても印象に残っており、今後自分が設計を行っていく際に真似していきたいと思った。